元文部大臣、科技庁長官、元東大総長の有馬朗人(あきと)博士が90歳で亡くなられた。国の科学技術の発展に大きく寄与され、またそのご業績は測り知れないものがある。私もその謦咳(けいがい)に接し、多くのことを学ぶ機会に恵まれたことは余りにも幸運でした。     

 私は国のエネルギー政策の中で、原子力エネルギーの有用性、重要性を強く認識しており、とりわけ次世代型エネルギーとして10年近くに亘って「溶融塩炉型原子炉」の開発研究と深い関わりを持っています。有馬先生はこの流れを一貫して全面支援して下さった。8月26日に私が国会施設にて主催した研究大会においても基調演説を頂いた。日本の科学研究開発費を大幅に増やさなければ中国、欧米に大きく後れをとっていること、若手の研究者を本格的に育てなければ、すでに蓄積した日本の先進技術が続かなくなる、と強い危機感を力説された。最後には多くの若い研究者らと激励写真にも収まって下さった。     

 国としても、また私たち研究グループとしても、本当に大切な人を失ったと、心から感謝と哀悼の意を捧げます。8月の講演は有馬先生の遺された貴重な「遺言」として、我々がしっかりと護り続けていかなければなりません。